yumekago

まちがいさがし 第7章

なまえの実家を出ると、近くにあった公園で目眩が落ち着くまで休む。
30分ほど休んで回復してきたところで駅を目指して歩き始めた。

ほとんど確信を掴んでいたけれど、最後の確認をしないでは居られなかった。

ちょうどホームに停車した電車に足早に乗り込み、乗降口の上に掲げられた路線図を見上げる。

路線図の先にあるのは、かつてなまえと訪れた町。

受験前に旅行したいと俺が言い出して、二人で訪れたあの町。
玄弥が見かけたあの子どもがいる町。

1時間ほど電車に揺られて、ようやく目的の駅に着く。

改札を出ると懐かしい思い出が鮮明に蘇る。
胸を焦がされる感覚に襲われながらも、玄弥が会ったと言っていた公園を目指して歩く。

いるかどうかもわからないけれど、他に手がかりなんてないのだから仕方ない。

児童公園と書かれた公園の前に来ると、躊躇いもなく中に入る。

おおよそ児童公園に似合わない風貌の俺が公園に侵入してきたことで、中で子どもを放って談話していた母親達が慌てて我が子に近寄るのが見えた。

「⋯⋯」

遠慮なく見てくる好奇と畏怖の目を忌々しく感じながら公園の片隅にあるベンチに腰を下ろし、公園内で遊んでいる子どもを見回した。
傍目にはチンピラが子どもを物色しているようにしか見えないだろう。

一通り見回して玄弥の写真に写っていた子どもは見当たらないことを確認すると、息をついてベンチに背中を預ける。

子どもは嫌いじゃないし、7人兄弟の長男で子守も育児も慣れてるが、如何せん子どもに懐かれない。
原因は自分でわかっているが、特段直す気もない。

そのままベンチに座り腕を組みながら園内で遊ぶ子どもを眺めていたら、怯えた子どもが逃げるように母親や保護者に駆け寄り、一人また一人と園内から消えていく。

気付けば園内から子どもの影は消えていて、犬の散歩やランニングで時折大人が通り抜けていく以外には人影もほとんどない。

ここで待っていても埒が明かないのかもしれない。
それでも他に行く宛もなく、仕方ないと自分に言い聞かせるようにしてベンチに寝転んだ。